ご存じの方もおられると思うが、私は以前、塾で現国の講師をしていた。
中学生から高校生まで、受験対策や補習など内容は様々だったが、授業以外で生徒たちに強くおすすめしていたことがある。
「シャーペンの芯は0.5mmより太いほうがいい」である。
シャーペンには様々な太さの芯が用意されている。
よく見かけるのは0.3mmや0.5mmで、品揃えが充実している文具店などでは0.7mmや0.9mmも見かける。
ホームセンターの建築関連の道具コーナーには、墨付けに使う2.0mmなどの極太のシャーペンもおいてあるが、これは日常生活で使うことはないだろう。
私は建築技術者でもあるので、2.0mmのシャーペンも現場用の腰袋に入れてあるが、日常で使うことなど皆無だ。
私が日常で愛用しているのはステッドラーの製図用で、芯の太さは0.7mmと0.9mm、特に0.7mmが好みだ。
0.9mmは机の上で紙に書いて生徒に説明する際に太く大きな文字で書くことができ、たいへん重宝した。
今でもお客様と紙の上でお打ち合わせをするのに使用している。
たしかにPCで文書や図面を作成することが当たり前になり、デスクワークでシャーペンを走らせることも少なくなったが、それでも私は依然として仕事で使うシャーペンにはこだわっているのである。
私が受け持った生徒たちにも、0.5mmにこだわらず、太い芯のシャーペンを使って、大きくはっきりと文字を書くことを強く勧めてきた。
生徒たちの中には、ひっきりなしにボキッ!カチャカチャカチャ!を繰り返している子もいる。
もう慣れたものなのか、無意識にそれを繰り返しているのかもしれないが、時間の無駄だ。
逆に、普段はめったに折ることのない生徒が、焦るあまりに筆圧が上がり、繰り返し折ってしまうと、自然とイライラが募り集中力を欠いてしまう。
どちらにしても折れやすいシャーペンを使っていることにメリットなどない。
可読性についても同様で、生徒たちの解答用紙の中には、折れたあと何度も消しゴムをかけて書き直し見づらくなったものや、そもそも細く小さな字で書かれたものも散見される。
読めるうちはまだいいのだが、採点者が読めない解答にいたっては採点の対象にすらならない。
解答用紙は大きくはっきりと、読みやすい文字で記入することが重要だ。
マークシートであっても、芯が太いほうが塗るのが早くて楽なのは言うまでもないだろう。
0.5mmに比べ、0.7mmや0.9mmは、よほどのことがない限り書いていて折れることはない。
集中して文字を書き連ねているときにボキボキ折れないというのは精神衛生上とても重要なことだ。
また、芯が太いと自然と文字が大きくなるのと同時に、文字が太く濃くなり、可読性も高まる。
さらに、高揚して筆圧が上がったとしても、芯が折れずに許容してくれる筆圧も高い。
これは一日に何時間もシャーペンを使って文字を書き、採点者にとって読みやすい解答を書かねばならない受験生にとって大きなメリットだ。
もちろん社会人になってからも文字を書く際に大いに助けとなってくれるのは間違いない。
私が使用しているのは上で紹介したシャーペンのシルバーのモデルで、数年前に筆箱ごと紛失した際に再購入した2代目だ。
もう長年これを愛用していてとても手に馴染んでいる。
今後またシャーペンを買い直す機会があっても、同じものを選ぶだろう。
勉強でも仕事でも、文字を書く際にストレスなく書くことができるかは生産性に直結する。
受験生諸君も、少しでも早いうちに信頼できる相棒を見つけられるよう願っている。